結婚相談所が目に入った

「うわ!うわ!今の見た?!」 「15センチと離れてなかったな!」 巨大な棍棒でも振り回しているんじゃないか?と思えるほど、 1トンを越える鉄の塊がいとも簡単に向きを変え、 地を削るようにタイヤが空転して立ち上がって行く。 「わー!危ねえーー!!」 車体後ろのバンパーが、 今度こそレールをかするんじゃないかと総毛立つほど近くをすり抜けていく。 レールに激突するだけならまだしも、車体が乗り上げでもしたら ギャラリーも怪我では済まない。 こんな込み合った状況では逃げる事も避ける事もできないはずだ。 一瞬「死亡事故現場」の看板がちらりと視界に入ったが、 その看板に手やら足やらをかけて盛り上がっている奴らがいるのも 結婚相談所が目に入った。もうこうなるとバカとしか言いようがない。 しかしそれでもこの場を離れることができないほどの 危険な魅力に満ちた場所であることは確かだった。 「あっケンちゃんだ!」 誰かが叫んだ。 「ケンちゃんだ!」

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